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東日本大震災経済的影響
 (2012/5/7)暫定値

  • ここに掲載しているほとんどの情報は、確定値ではなく調査時点の情報です。それぞれ日々更新されているため、最新の正確なデータは、各出典元の機関やリンク先で確認下さい。
日本製紙株式会社石巻工場
日本製紙株式会社石巻工場 (宮城県石巻市 2012年4月)
  • 経済損失額(推計)
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  • 上場企業の特別損失合計
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  • 経営破綻企業数
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  • 約16兆9000億円(2011/11 内閣府)[26]
  • 16兆3,730億円(日本政策投資銀行)[28]
  • 10兆〜20兆円(大和総研)[29]
  • 5兆8,900億円(SMBC日興証券)[74]
  • 4兆703億円(2012/3/9 東京商工リサーチ)[e2]
  • 730社(2012/4/27 東京商工リサーチ)[34]
  • 645社(2012/3/7 帝国データバンク)[50]
  • 失業者数(離職票等交付件数)
  • 失業者数(試算)
  • 新卒者採用内定取消し
  • 15万5,779件(8/28、東北3県、対前年比1.8倍)[35]
  • 14万〜20万/45万〜65万人(東北3県/全国、日本総研)[99]
  • 427人(全国)[35]
  • 被災地の企業数
  • 被災地の売上規模
  • 被災地の従業員数

    出典元

[73]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について,緊急災害対策本部(政府),2011年8月23日

[16]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置,警察庁緊急災害警備本部,2011年8月28日

[23]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(第137報),総務省消防庁災害対策本部,2011年8月25日

[35]平成23年(2011年)東日本大震災の被害状況及び対応について(第97報),厚生労働省,2011年9月2日

[26]『地域の経済2011 -震災からの復興、地域の再生-』,内閣府,2011年11月

[28]『東日本大震災資本ストック被害金額推計』について-エリア別(県別/内陸・沿岸別)に推計- DBJ News,(株)日本政策投資銀行,2011年4月28日

[29]未曾有の大震災からの復興へ「復興基金」と「復興連帯税」の創設を提言する ,(株)大和総研,2011年3月18日

[47]東日本大震災関連情報-総務省統計局・政策統括官(統計基準担当)の統計調査等関連の取り組み「東日本太平洋岸地域のデータ及び被災関係データ」,総務省統計局

[48]津波・原発被災地域の2005年人口地図と人口数推計,埼玉大学教育学部人文地理学谷謙二研究室

[49]データを読む「東日本大震災」関連調査 太平洋沿岸 東北4県44市区町村の震災前経済規模,(株)東京商工リサーチ,2011年3月24日

[74]上場企業の特別損失 5兆円超,NHKニュース,2011年5月22日

[99]大震災の雇用への影響と対応策ー45〜65万人失職リスクへの対策パッケージー,日本総合研究所,2011年5月17日

解説

    参考・調査データ

震災復興 日本経済の記録

日本経済新聞出版社

2011年 日経新聞
震災関連 経済記事
切り抜き集

    経済的影響

    東日本大震災の経済損失額

震災10日後の政府試算

内閣府は2011年3月23日、東日本大震災による経済損失額(=社会インフラ等経済ストック [社会資本・住宅・民間企業設備] の被害額 {内閣府})を試算した。月例経済報告等に関する関係閣僚会議で報告されたもので、2通りのケーススタディを基に、約16兆円〜約25兆円と算出した[e3]

これらの推計値には、道路や鉄道、企業間のサプライ・チェーン断絶の損失、ライフライン等の公共インフラの毀損、福島原子力発電所事故やそれに伴う避難区域の設定に伴う損失、消費者心理の悪化や買い貯め、農業や漁業、工業、観光などの風評被害、計画停電や省エネによる経済活動の減少などは考慮されていない。

震災3ヶ月後の政府試算

内閣府の防災担当は2011年6月23日、東日本大震災による経済損失額(各資本ストックの被害金額)について改めて試算した結果を公表した。各県及び関係府省から個別に収集し、約16兆9000億円と推計した[26]

エコノミスト 2011年 5/17号 [雑誌]
特集 3.11後の世界経済

毎日新聞社 (2011-05-09)
エコノミスト 2011年 5/10号 [雑誌]
特集 震災と復興

毎日新聞社 (2011-04-25)

    上場企業の震災関連特別損失

5兆8,900億円:上場企業の特別損失合計。SMBC日興証券の調べをNHKがまとめた。

SMBC日興証券は、2011年5月13日までに発表された東京証券取引所一部上場企業1197社(全体の約93%)の2011年3月期決算を調査した。このうち1,153社が特別損失を計上し、その合計額は約4兆4,000億円。

NHKによると、同証券が2011年5月20日までに発表した1267社を対象とした合計は、5兆8900億円だった。

多くは工場などの建物や設備が被災したことによる損失だが、影響はそれだけではない。例えばキリンHDは震災関連の特別損失で51億円を計上しているが、そのうち20億円は広告宣伝費で、テレビCMが「ACジャパン」の公共広告に入れ替わったことによるもの。97億円のオリエンタルランドは、運営する東京ディズニーランドの被災した駐車場の復旧費や、従業員の人件費・休業補償などである。

また原発事故による東京電力の株価急落の影響も甚大となった。筆頭株主の第一生命保険の約1,000億円の評価損をはじめ、メガバンクも500億〜800億円もの損失処理を迫られているという[e1]

4兆703億円:東京商工リサーチ調べによる上場企業3,543社のうち、本決算・中間決算の損益計算書において特別損失で震災関連の損失を計上したものの合計(2012年3月9日時点)[e2]

損失の内訳は災害による損失のほか、42社が災害義捐金(損失額93億円)を計上するなどしている。

【詳細:東日本大震災 経済界のCSR活動(寄付、義援金)

  • 主要企業の特別損失額(震災関連分) 

  • 東京電力 : 2兆964億円(※2)
  • JX HD : 1,374億円(※2)
  • トヨタ自動車 : 1,100億円(※1)
  • 東北電力 : 1,093億円(全1,231億円中)
  • 日本製紙グループ本社 : 711億円(※2)
  • 住友金属工業 : 743億円(※2)
  • 東日本旅客鉄道 : 709億円(全1,566億円中)(※2)
  • ルネサスエレクトロニクス : 622億円(※2)
  • 日産自動車 : 607億円(※2)
  • 七十七銀行 : 506億円(※2)
  • 本田技研工業 : 457億円(※1)
  • 三井不動産 : 334億円
  • JFE HD : 283億円
  • NTT : 282億円(※1)
  • 信越化学工業 : 263億円(※2)
  • セブン&アイHD : 260億円
  • 新日本製鐵 : 237億円
  • 三菱ケミカルHD : 224億円
  • KDDI : 175億円
  • ソフトバンク : 144億円
  • 三菱製紙 : 133億円
  • 東洋製罐 : 130億円
  • 三越伊勢丹HD : 125億円
  • 富士通 : 116億円
  • 日本たばこ産業 : 109億円
  • IHI : 105億円
  • 日立化成工業 : 102億円
  • 三菱重工業 : 102億円
  • クレディセゾン : 99億円
  • オリエンタルランド : 97億円
  • 大和ハウス工業 : 92億円
  • アサヒビール : 69億円
  • 日立建機 : 67億円

#『週刊ダイヤモンド 2011年5/28号』、東京新聞 2011/5/17、マイコミジャーナル 2011/5/23、東京商工リサーチ 2012/3/9、他各社プレスリリース、報道より当サイトまとめ。

※数値は1億円未満切り捨てのおよそ値

※HDはホールディングス略

※1)アメリカ会計基準の会社。営業費用に含めた震災関連損失額相当分

※2)2012年3月、東京商工リサーチ発表。2011年3月期、9月中間期決算の合計。[e2]

    倒産・経営破綻企業

東日本大震災関連倒産の累計件数

730件:東京商工リサーチの調べ(2012年4月27日時点)

645件:帝国データバンクの調べ(2012年3月7日時点)

東京商工リサーチ調べの730件のうち、直接倒産型は52件、間接倒産型は678件だった(2012年4月27日時点)。

東京商工リサーチによる「震災関連」の経営破綻の定義は、以下のいずれかに該当するもの。

  • 直接型:震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻。
  • 間接型:以前から経営不振で、震災の間接影響を契機に経営破綻。
  • 直接・間接型:震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた。
これまでの調査結果

帝国データバンクの調査によると、4月末の時点で東日本大震災関連の倒産は66社、負債総額371億300万円であった。

同社がその内容を分析したところ、東北3県(岩手、宮城、福島)は10社にとどまっている。これについては、被災して連絡がつかない企業が多く、震災の被害が甚大で「資金的な問題などから倒産手続きの準備すらできない企業が少なくない」と同社は分析しているみている(産經新聞 2011/05/06)。同時期の東京商工リサーチによるデータでは、50社(約346億円)となっている。

倒産パターンは「間接被害型」が全体の9割を超えていた。これは消費者による自粛のあおりが20社と最も多い。これは業種別で「旅館・ホテル」が8社と最も多いことでも裏付けられる。また「5人以下」の零細企業が4割を超えている。

帝国データバンクは2回目となる調査結果を発表。5月11日の時点で東日本大震災関連の倒産は87社、負債総額は527億8600万円となった。

帝国データバンクによると東日本大震災による倒産は、5月末時点で131社と判明した。関東45社、東北34社、中部13社(同社6月1日発表)。

この震災を受けて宮城県内の588社が廃業を決め、廃業を検討している企業も1,715社に上ることが、宮城県商工会連合会の聞き取り調査によって判明した。会員企業2万3,749社中1万814社が被災し、営業中止の企業は3,569社(讀賣新聞東京本社宮城版 2011/05/28)。

  • 経営破綻企業数(延べ数の推移) 

  • 東京商工リサーチ : 50社/100社/137社
  • 帝国データバンク : 66社/102社/131社

#3/11〜4月末,〜5/17,〜6/1

  • 震災の影響による経営破綻・企業倒産 

  • 3月 : 15社
  • 4月 : 51社
  • 5月 : 65社

#帝国データバンク

    失業者数

  • 震災による雇用の状況(速報値) [被災3局計] 

  • 被災有効求職者数 : 3万8,942人(38,474人 5/23)
  • 職業相談件数 : 30万1,827件(25万3,434件 5/23)
  • 雇用保険離職票等交付件数 : 11万4,608件(対前年比2.4倍)(111,573件 5/23)
  • 雇用保険受給資格決定件数 : 7万3,385件(対前年比3.0倍)(70,200件 5/23)

#厚生労働省職業安定局 2011年5月30日

ハローワークに失業手当を申請する際に必要となる離職票や休業票の交付労働者数。ただし農漁業や商店などの個人事業主は含まれていないため、実際の人数はより多いと推測され、日本総研は5月中旬、自営業者も含め被災地で約14万〜20万人が職を失った可能性があるとの推計を公表している。

    被災地の経済規模推計

被災地(太平洋沿岸部の東北4県44市区町村)の震災前の経済規模(企業数、売上規模、従業員数)を東京商工リサーチが同社の企業データベースから抽出した。中小零細企業も含むが、漁業・農業の個人事業主は含まれない。

売上規模はおよそ9兆9千億円。これについて同社はレポートの中で「中小・零細規模が集積しており、震災による短期的な経済損失は売上規模に匹敵する可能性もある」との指摘をしている。

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